学生ローンの知られざる世界

現在の学生ローンでは、以前と比べて貸し付け与信枠の設定が厳しくなっているように思える。
これは、過払い金返還請求による学生ローンの体力低下や、マルチ商法等の悪質業者の跋扈が大きく影響しているかもしれない。

過払いによる学生ローンの体力低下については、学生ローンのみならず消費者金融業界全体に言える事である。
貸し付けに回す資金が不足する為、貸付金を絞らざるをえないというのが現状だ。
過払いの全盛期には、貸付を止める貸金業者も相次ぎ、暫くの間なかなか借りる事ができない人々が増加した時期があった。
そこに追い打ちをかけたのが、マルチ商法の跋扈による世間的な批判の声があがった事も、大きな要因となった。

過払いについては最近は落ち着きを見せてきたものの、依然として途絶える様子は見られない。
それでも以前に比べ、返還請求件数は相当減ったのも事実で、次第に貸付金に回されつつある状況になっていきてはいるが、マルチ商法等との絡みでまだ釈然としない状況は続いていると言えるだろう。

学生ローンがマルチ商法等を警戒するようになった最大の理由は、世間的な批判が大きい事である。
消費者センターには年々被害者の相談件数は増え続ける一方だ。
学生ローンではマルチ商法に対する注意喚起を全面的に打ち出し、対策を講じているところだ。

こうした中、学生ローン関係者の間では、消費者センターなどの一方的な私感による学生ローンへの批判に対し、反感を抱いている現状がある。
要は「貸す方が悪い」という主張だ。
貸金業者は金を貸すのが商売であり、貸す方が悪いという論法は貸金業者の存在そのものを否定する事である。

学生ローンは貸金業法に則った営業をしており、当然都道府県知事の「登録」を受けた全うな貸金業者だ。
だからこそ申し込み者全員にマルチ商法等への注意喚起もしている。
一つここで言いたいことは、申し込み者は使用目的を偽って申込書を記入しているという事だ。
使用目的欄に「投資の為」とか「ビジネス費用」などと書いてあれば、当然審査が通らない事を知っているのである。
過失があるとすれば、むしろ使用目的を偽る方にあると言えまいか。

消費相談窓口の相談員の対応は、あまりにも無知でずさんである。
場合によっては名誉棄損・営業妨害にあたる可能性すらあるとみている。
彼らは、こうした問題に発展するかもしれないという危惧さえみじんも感じず、無責任な言動を相談者に行っているのである。
もちろん、相談員全員というわけではないが、このような偏見で対応する相談員は非常に多いのが現状だ。

余談だが、世論は時に大きな間違いを侵す事がしばしある。
例えば、こんなことを書くと猛烈な批判を浴びるとおもうのだが、東日本大震災の例を挙げてみよう。
3.11の東関東大震災は、多くの犠牲者を出し、今でもその傷跡を残す大変痛ましい出来事であった。
特に、南三陸町の遠藤未希さんや、石巻市の菅原彩加さんの壮絶なエピソードには、心を打ち抜かれるほどの衝撃を受けた。
こういった報道を見る度に、改めてこの地震の悲惨さを思い知らされる。

しかし、この凄惨な自然災害を食い物にする輩がいる事も事実だ。
もちろん、ごく一部の人間であろうと思われるが、支援金を不正に受給したり、空き巣となった自宅から家財道具などを持ち出す卑劣なニュースを見る度に、日本は終わったと思ったものだ。

だが、ここで言いたい事は別にある。
役場や行政の対応を、批判しか言わないひとたちのことである。
役場の職員は、この未曾有の大惨事に日夜問わず対応に迫られている。
災害当初は何から手をつけて良いか途方に暮れる日々だった。
中には、被災者でありながら役場の職員としての職務を全うする者も大勢いた。

支援金や支援物資が全国から寄せられ、それらを、被災者の人たちにどう分配するかが、彼ら(役場の職員等)の重要な責務であった。
そんな中、大切な支援物資や支援金を不正受給しようとする者たちが現れた。
これら不正受給は、絶対に排除しなければならない重要な問題である。
彼らは、これらに対応する為、膨大な資料を精査し、不正受給を水際で防ごうと懸命に職務を遂行していた。
当然、時間がかかってしまうのは仕方のないところだ。
これを批判するのも待たされる被災者たちの事を思うとわかるのだが、それにしても度が過ぎていたように思うのは私だけだろうか?

先日こんな放送もされていた。
震災で家が半壊状態の家に住まざるを得ない住人のレポートである。
なぜ仮設住宅に住まないのか?という番組司会者の問いに、帰ってきた答えはこうだった。
「家の修繕費を受けた場合、仮設住宅への入居権利がなくなるので、やむを得ず住んでいる」
番組スタッフらからは、行政を痛烈に批判する声が湧いた。
気持ちはわからんでもない。
しかし、この行政の対応は、本当に批判されるものなのだろうか?
家は直してもらい、その上仮設住宅までとなるといったいいくらのお金と人でがかかるのか?
どちらか一つ、選択肢があるだけでも、感謝の言葉があっても良いのではないだろうか?
感謝の言葉があった上で、「まだ足りない」と言うのならわかるのだが・・・

今までこういった震災被害者のレポートを見るかぎり、一度も感謝の言葉を聞いた事がない。
自分が見ていないところであったかもしれないが、私自身は見た事がないのだ。
一度くらいはあっても良さそうなのだが・・
もちろん、支援が行き届いていないのは重々承知である。
しかし、前述の通り、たくさんの人々から暖かい義援金や支援をして頂いているのだから、感謝の言葉を添えた上でまだ足りていない状況を訴えるのがスジではないのか?

かなりお叱りと批判を浴びそうだが、あえてここでこの話題を取り上げたのは、世の中には得体のしれない「空気」が存在し、その空気は物事の良し悪しを冷静に判断できない状況を作り出す事がある。
学生ローンの業界もまたしかり、現状を知らない人々が、勝手なイメージで酷評する者たちが非常に多い。
特に中立的な立場にならなければいけないはずの消費者センター等が、先陣をきってこのような対応をしている事は、非常に大きな問題である。
まずは双方の話を聞き、自ら調べ、それでも間違いないと判断した場合に持論として展開するのは自由だ。
ろくに調査もせず、一方的な思い込みで批判するのみならず、相談者に対して誤ったアドバイスをするその姿勢は、今すぐ改めるべきである。

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